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難関大理系コラム

コラム 2026年5月30日

定期テストで9割解けても難関大理系に届かない本当の理由

定期テストで9割解けても難関大理系に届かない本当の理由

「学校の定期テストでは80点、90点を取れる」
「数学も物理も化学も、学校内では悪くない」
「それなのに、模試になると偏差値が伸びない」
「過去問になると、急に何をすればいいか分からなくなる」

理系受験生によくある悩みです。

本人も、保護者も、最初は不思議に感じます。

学校のテストでは取れている。
提出物もやっている。
授業も理解している。
問題集もそれなりに解いている。

それなのに、模試になると点が取れない。

この原因を、多くの生徒は「演習不足」だと考えます。
しかし、難関大理系を目指す場合、本質はそこではありません。

結論から言えば、定期テストと模試では、そもそも問われている力が違います。

定期テストで問われやすいのは、授業で扱った範囲の内容を、決められた形式で再現する力です。

一方、模試や難関大理系入試で問われるのは、定義・原理・法則を理解し、初見問題の中で使いこなす力です。

つまり、定期テストで高得点を取れることと、難関大理系の問題が解けることは、似ているようでまったく別の能力なのです。

定期テストは「解法暗記」でも点が取れてしまう

学校の定期テストは、基本的に範囲が決まっています。

試験範囲は授業で扱った単元。
出題される問題も、教科書・問題集・プリント・授業中の例題に近いものが中心。
先生が事前に「ここは出る」と示すこともあります。

そのため、定期テストでは、解法パターンを覚える勉強でも高得点が取れてしまうことがあります。

この問題はこの公式。
この形ならこの解法。
この問題集の類題が出る。
このプリントを覚えれば点になる。

このように、出題範囲と問題形式がかなり限定されているため、原理・原則の理解が多少浅くても、覚えた解法を再現できれば得点になります。

もちろん、定期テストで高得点を取ることは悪いことではありません。
授業内容をきちんと復習し、範囲内の問題を解けるようにする力は重要です。

しかし、ここで大きな落とし穴があります。

定期テストで点が取れると、生徒は「自分は理解できている」と感じてしまいます。

しかし実際には、理解しているのではなく、出題範囲が狭く、問われ方が予測しやすいから解けているだけのことがあります。

この状態のまま模試を受けると、一気にできない状態になります。

模試は「どの解法を使うか」から自分で判断しなければならない

模試や過去問では、定期テストのように親切な出題はされません。

範囲は広い。
問題文は長い。
条件は複雑。
見たことのない設定で出される。
どの公式を使うべきか、すぐには分からない。

ここで求められるのは、覚えた解法を思い出す力ではありません。

問題文を読み、条件を整理し、どの原理・法則を使うべきかを判断する力です。

数学であれば、公式や解法パターンを覚えるだけでなく、なぜその式変形をしてよいのか、どの定義に基づいているのか、どの条件でその方針が使えるのかを理解している必要があります。

物理であれば、どの力が働いているのか、どの保存則が使えるのか、なぜその運動方程式を立てるのかを、自分で判断する必要があります。

化学であれば、用語や反応を覚えるだけでなく、現象・構造・量的関係をつなげて考える必要があります。

つまり、模試では「この問題を見たことがあるか」ではなく、
「この問題の中で、どの原理を使えばよいかを見抜けるか」
が問われています。

だから、定期テストでは高得点なのに模試で低偏差値になる生徒が出てくるのです。

学校の先生の立場だと、定期テストで初見問題ばかりを出すことは難しい

ここで重要なのは、学校の定期テストが悪いという話ではないことです。

学校の先生にも、構造上の制約があります。

もし定期テストで、模試や難関大入試に近い初見問題ばかりを出したらどうなるでしょうか。

平均点は大きく下がります。
授業についていけない生徒が増えます。
保護者や生徒から「授業でやっていないように見える問題が出た」と不満が出る可能性もあります。
学校としても、成績評価が極端に難しくなります。

つまり、学校の定期テストは、授業で扱った内容をどれだけ身につけたかを確認する役割があります。

そのため、授業で扱った例題や問題集に近い問題、解法暗記でも対応しやすい問題を一定数出さざるを得ません。

これは学校側の怠慢というより、学校教育の仕組み上、ある程度避けられない構造です。

しかし、その構造があるからこそ、生徒側には誤解が生まれます。

「定期テストで取れているから、自分は理系科目ができている」
「学校の問題集をやっているから、模試でもそのうち伸びる」
「今の勉強法で大きく間違ってはいないはずだ」

この安心感が、難関大理系を目指す生徒にとっては危険になります。

偏差値60弱までは、解法暗記でも何とか届いてしまう

さらに厄介なのは、解法暗記中心の学習でも、模試でまったく点が取れないわけではないことです。

基礎的な知識があり、典型問題をある程度覚えていれば、模試の前半部分は解けます。

計算問題。
典型的な小問。
見たことのある形の問題。
基本公式をそのまま使う問題。

こうした問題を取ることで、偏差値50台後半、場合によっては偏差値60弱までは届くことがあります。

これが、さらに問題を見えにくくします。

完全に成績が悪ければ、勉強法を見直すきっかけがあります。
しかし、そこそこ取れてしまうと、「このまま問題演習を増やせば、もう少し伸びるはず」と考えてしまいます。

でも、ここから先が伸びません。

なぜなら、偏差値60以上、特に難関大理系で差がつくのは、典型問題を覚えているかどうかではないからです。

差がつくのは、初見問題で原理・原則を使いこなせるかどうかです。

つまり、偏差値60弱までは解法暗記でごまかせても、その先で必ず壁にぶつかります。

この壁にぶつかったとき、多くの生徒はさらに問題演習を増やします。
しかし、本当に必要なのは、演習量を増やすことではなく、理解の仕方を変えることなのです。

定期テスト型の成功体験が、学習改善の機会を奪う

定期テストで高得点を取れる生徒ほど、自分の勉強法を疑いにくくなります。

なぜなら、結果が出ているように見えるからです。

問題集を解く。
解法を覚える。
定期テストで点が取れる。
学校では「できる方」に入る。
先生や保護者からも一定の評価を受ける。

この流れがあるため、本人は「今の勉強法で大きく間違っていない」と感じます。

しかし、模試や過去問では急に通用しなくなる。

ここで初めて、「なぜ定期テストでは取れるのに、模試では取れないのか」という問題に直面します。

本当は、この時点で学習法を根本から見直す必要があります。

しかし、多くの生徒は次のように考えてしまいます。

「まだ演習量が足りないだけ」
「もっと問題集を進めれば伸びるはず」
「難しい問題に慣れていないだけ」
「過去問対策をすれば何とかなる」

こうして、原理・原則の理解に戻る機会を失ってしまいます。

定期テスト型の成功体験が、むしろ難関大理系に必要な学習への転換を遅らせてしまうのです。

難関大理系で必要なのは「解法を覚える力」ではなく「原理を使いこなす力」

理系科目の本質は、解法暗記ではありません。

もちろん、典型問題の解法を覚えること自体は必要です。
基本的な処理を素早くできるようにすることも重要です。

しかし、それだけでは難関大理系には届きません。

難関大理系で問われるのは、定義・原理・法則を、初見問題の中で使いこなす力です。

数学なら、問題の条件から論理を組み立てる力。
物理なら、現象をモデル化し、適切な法則を選ぶ力。
化学なら、知識を現象や計算に結びつける力。

この力がなければ、模試や過去問では安定して点が取れません。

定期テストでは、すでに「どの単元から出るか」が分かっています。
しかし、模試や入試では、自分で見抜かなければなりません。

定期テストでは、似た問題を覚えていれば対応できます。
しかし、模試や入試では、見たことのない形でも考えなければなりません。

定期テストでは、解法の再現力が評価されやすい。
しかし、模試や入試では、原理の運用力が問われます。

この違いを理解しない限り、定期テストでは取れるのに模試で伸びない状態は続きます。

本当に分かっているかは、説明させればすぐに分かる

では、解法暗記で止まっているのか、原理・原則まで理解できているのかは、どう判断すればよいのでしょうか。

一番分かりやすい方法は、説明させることです。

「なぜこの公式を使ったのか」
「この条件から何が分かるのか」
「この式は何を意味しているのか」
「別の聞かれ方をしたらどう考えるのか」
「この問題の本質はどこにあるのか」

これらに答えられるかを確認すれば、理解の深さはかなり見えてきます。

答えが合っていても、説明できない。
解説を読めば分かるが、自分では方針を立てられない。
公式は覚えているが、なぜ使えるのか分からない。
似た問題は解けるが、条件が変わると止まる。

この状態なら、理解はまだ浅い可能性があります。

定期テストではごまかせても、模試や難関大理系入試ではごまかせません。

ソクラテス塾が「ソクラテス式試問」を重視するのは、このためです。

講師が一方的に解説するだけでは、生徒の「分かったつもり」は見抜けません。

問いを重ねることで、初めて理解の穴が見えてきます。

定期テスト高得点から難関大理系に進むために必要な転換

定期テストで高得点を取れていることは、決して無意味ではありません。

範囲内の内容を覚える力。
決められた問題を正確に処理する力。
提出物や復習を継続する力。

これらは、受験勉強の土台になります。

しかし、難関大理系を目指すなら、そこからもう一段階、学習の質を変える必要があります。

解法を覚える勉強から、原理を説明する勉強へ。
似た問題を解く勉強から、条件が変わっても考えられる勉強へ。
問題集を進める勉強から、理解の穴を潰す勉強へ。

この転換ができるかどうかが、模試や過去問で伸びるかどうかを分けます。

定期テストで高得点を取れる生徒は、努力できる生徒です。
だからこそ、努力の方向を変えれば大きく伸びる可能性があります。

問題は、努力不足ではありません。
努力の向け方が、定期テスト型のまま止まっていることです。

定期テストが良くて模試でダメな理由は「問われている力」が違うから

定期テストでは高得点なのに、模試で低偏差値になる。

その理由は、シンプルです。

定期テストでは、範囲が限定され、解法暗記でも対応しやすい問題が出やすい。
一方で、模試や難関大理系入試では、原理・原則を初見問題で使いこなす力が問われる。

つまり、同じ理系科目に見えても、問われている力が違うのです。

学校の定期テストで点が取れているからといって、難関大理系に必要な理解ができているとは限りません。

むしろ、定期テストで点が取れてしまうことで、解法暗記中心の学習法を疑う機会を失っていることがあります。

模試で伸びないなら、問題演習量を増やす前に確認すべきです。

・自分は、なぜその公式を使うのか説明できるか。
・問題文の条件から、何が分かるか整理できるか。
・初見問題でも、原理に戻って考えられるか。
・答えが合うだけでなく、解法の意味まで理解しているか。

ここに向き合わない限り、定期テストでは取れるのに、模試や過去問では伸びない状態が続きます。

難関大理系に必要なのは、学校のテストで点を取るための解法暗記ではありません。

原理・原則を理解し、初見問題の中で使いこなす力です。

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