分かりやすい授業では理系科目の成績が伸びない本当の理由
「人気講師の映像授業を見ているのに、模試になると解けない」
「ChatGPTに解説してもらうと分かるのに、自分では解けない」
「分かりやすい参考書を使っているのに、成績が伸びない」
理系科目で伸び悩む生徒によくある悩みです。
今の時代、分かりやすい学習コンテンツが非常に増えています。映像授業、YouTube、参考書、ChatGPTなどを使えば、難しい単元でもかなり丁寧な解説に触れることができます。
もちろん、それ自体は悪いことではありません。
分かりやすい解説は、学習の入口として非常に有効です。苦手意識を減らし、単元の全体像をつかみ、最初の理解を助けてくれます。
しかし、医学部・難関大理系を目指す場合、「分かりやすい解説を聞くこと」では足りません。さらにいえば、問題演習を大量にこなすだけも実はダメです。
なぜなら、難関大理系で求められるのは、解説を聞いて分かった気になることではなく、初見問題の中で、定義・原理・法則を自分で使いこなす力だからです。

目次
「分かった」と「解ける」はまったく別物
成績が伸びない生徒ほど、この2つを混同しています。
授業を聞いて分かった。
解説動画を見て分かった。
ChatGPTの説明で分かった。
参考書の解説を読んで分かった。
たしかに、その瞬間は理解できたように感じます。
しかし、入試本番で問われるのは、「解説を聞けば分かるか」ではありません。問われるのは、「自分で問題文を読み、条件を整理し、どの知識を使うか判断し、解答までたどり着けるか」です。
ここには大きな差があります。実は理系科目は「知識不足」ではなく、「基礎を使いこなす思考力」不足が問題なのです。
講師が説明してくれた道筋を追うことと、自分で道筋を作ることは違います。
解説を読んで納得することと、自分で答案を組み立てることは違います。
ChatGPTに聞けば理解できることと、試験場で自力で考えられることは違います。
つまり、「分かりやすい解説」は理解の入口にはなりますが、それだけでは実戦力にはなりません。
難関大理系に必要なのは、分かった気になる学習ではなく、「説明できる理解」「使いこなせる理解」です。
しかし、分かった気になる学習は、頭を使わないので楽ですが、「説明できる理解」「使いこなせる理解」までやるのは頭に負担のかかる学習なので、省略して逃げてしまう生徒が多いのです。
分かりやすい解説が危険になる瞬間
分かりやすい解説には、大きなメリットがあります。
苦手単元への抵抗感が減る。
複雑な内容を整理してもらえる。
最初の理解がスムーズになる。
独学よりも短時間で全体像をつかめる。
しかし、使い方を間違えると、成績が伸びない原因にもなります。
なぜなら、分かりやすい解説は、生徒に「分かったつもり」を与えやすいからです。
講師がきれいに説明してくれる。
図や式も整理されている。
解法の流れも自然に見える。
だから、自分も理解できたように感じる。
しかし実際には、講師が難しい部分を整理してくれているだけで、自分自身が考え抜いたわけではありません。
この状態で問題演習に入ると、次のようなことが起こります。
似た問題は解ける。
解説を見れば納得できる。
でも、初見問題になると手が止まる。
少し条件が変わると、何をすればいいか分からない。
なぜその公式を使うのか説明できない。
これは、理解しているようで、実は理解が浅い状態です。ソクラテス塾では、この状態を「分かったフリが残っている学習」と考えています。
偏差値50台の大学や定期テストであれば、分かりやすい解説を聞き、典型問題を覚えるだけでも点が取れることがあります。
また、「問題を見た瞬間に解けなければ諦める」の繰り返しだと、せいぜい偏差値50台後半止まりです。
実は習っていた知識で解けるのに、気合い入れて試行錯誤をすることで「使える知識」にしていく行動が必要です。
ChatGPT解説も「聞いて終わり」では伸びない
最近は、ChatGPTを使って勉強する生徒も増えています。
分からない問題を質問すれば、丁寧に説明してくれる。
別解を出してくれる。
用語の意味を整理してくれる。
苦手単元を分かりやすく言い換えてくれる。
これは大きなメリットです。
しかし、ChatGPT解説も、使い方を間違えると「分かったフリ」を強化してしまいます。
なぜなら、ChatGPTは非常に分かりやすく説明してくれるため、生徒が自分で考える前に答えを得てしまうことがあるからです。
本来、理系科目では、問題文を読み、条件を整理し、どの原理を使うべきかを自分で考える時間が必要です。
しかし、すぐにChatGPTに聞いてしまうと、その思考過程を飛ばしてしまいます。
その結果、説明を読めば分かるのに、自分では解けない状態が残ります。
ChatGPTを使うなら、単に答えを聞くのではなく、次のように使うべきです。
「自分の考え方のどこがズレているか確認する」
「なぜその解法になるのか質問する」
「別の条件になったらどう変わるか聞く」
「自分の説明が正しいかチェックする」
つまり、ChatGPTは答えをもらう道具ではなく、自分の理解を問い直す道具として使うべきです。
成績が伸びない生徒は「説明できない理解」で止まっている
理系科目で本当に理解できているかどうかは、説明させると分かります。
答えが合っているかどうかだけでは不十分です。
解説を見て納得しているかどうかでも不十分です。
重要なのは、自分の言葉で説明できるかどうかです。
例えば、数学であれば、
「なぜこの式変形をしてよいのか」
「なぜこの場合分けが必要なのか」
「この公式はどの条件で使えるのか」
を説明できるか。
物理であれば、
「なぜこの物体にこの力が働くのか」
「なぜエネルギー保存則を使えるのか」
「この式は何を意味しているのか」
を説明できるか。
化学であれば、
「なぜこの反応が起こるのか」
「この用語の定義は何か」
「この計算で何を求めているのか」
を説明できるか。
ここで詰まる場合、理解はまだ浅い可能性があります。
難関大理系に必要なのは、解説を聞いて「分かりました」と言えることではありません。
自分で考え、自分で説明し、自分で使いこなせることです。
ソクラテス塾が「ソクラテス式試問」を重視する理由
ソクラテス塾では、講師が一方的に解説して終わる指導ではなく、問いを重ねながら理解の曖昧さを見抜く「ソクラテス式試問」を重視しています。
なぜなら、難関大理系で必要なのは、受け身で解説を聞く力ではなく、自分で考え抜く力だからです。
ソクラテス式試問では、講師が生徒に問いかけます。
「なぜそう考えたのか」
「この条件から何が言えるのか」
「その公式を使う理由は何か」
「別の解き方は考えられるか」
「この問題の本質はどこにあるか」
「同じ考え方は、別の問題でも使えるか」
このような問いを通じて、生徒の理解の穴が見えてきます。
答えが合っていても、説明できない。
途中式は書けていても、意味を理解していない。
解法は覚えているが、条件が変わると対応できない。
用語は知っているが、定義が曖昧。
こうした状態をそのままにして問題演習を進めても、難関大理系の入試では通用しません。
ソクラテス塾では、「分かったつもり」を残したまま先に進まないことを大切にしています。
分かりやすい授業は「入口」、試問は「定着」
分かりやすい授業や解説は不要だという話ではありません。
むしろ、最初の理解には必要です。
苦手意識をなくすうえでも有効です。
独学でつまずいた単元を整理するうえでも役立ちます。
ただし、それはあくまで入口です。
入口で止まってしまうと、成績は伸びません。
難関大理系に必要なのは、その先です。
解説を聞いたあとに、自分で説明する。
公式を覚えたあとに、なぜ使えるのか確認する。
問題を解いたあとに、どの原理を使ったのか振り返る。
間違えたあとに、何が分かっていなかったのか言語化する。
条件が変わった問題で、同じ考え方を使えるか試す。
この段階まで進んで、初めて知識は使える状態になります。
つまり、分かりやすい授業は「理解の入口」であり、ソクラテス式試問は「理解を本物にする過程」です。